今日の山中節 国民的漫画家と美声の芸妓の巻
2020年 08月 23日
サザエさんの旅あるき/長谷川町子
1946年~1974年まで長きにわたり朝日新聞などに連載され、また国民的アニメとして世代を越えて多くの人に愛されている『サザエさん』。その原作者 長谷川町子さんが、生前山中温泉に来られたのはご存知でしょうか。
サザエさんの新聞連載終了から9年後の1983年、「旅」をテーマにした自伝的エッセイ漫画「サザエさんの旅あるき」を発表。くしくもこの作品が1992年にお亡くなりになられた長谷川さんの最後の作品となりました。その中に山中温泉でのエピソードを綴っています。
一泊二日で山中温泉に訪れた際、正調山中節が聴きたいと芸妓さんを呼び、翌朝出発の際、彼女が唄う山中節のレコードを戴いたと、当時のようすが楽しく描かれています。
では長谷川町子が聴いた山中節は誰だったか。臆測の域は超えないが一説によると、当時唯一無二の美声の名妓と言われた一楽さんだったのではないかと言われています。
(↓瓶棒工事さんより寄稿)
山中温泉の隆盛期にあたる昭和30年~40年代にかけて、山中節の名手として名を馳せたのが一楽姐さんだ。決して器量良しという訳ではなかったが、透き通って艶のある声は多くの芸妓連の中でも白眉だったという。このEP盤レコードは昭和39年キングから発売されたもので、今でも時折中古市場で目にすることがある。それゆえ、祭りヤグラとこいこい輪踊りをデザインしたジャケットに、懐かしいと感じるオールドファンも多いのではないだろうか。昭和47年(1972年)夏、旧河鹿荘で開かれた「ゆかた会」いわゆる芸妓連主催の芸能発表会のプログラムを見ると、一也(いちや)菊五郎(きくごろう)浜子(はまこ)若子(わかこ)という往年のビッグネームの中でも、中心的存在であったことがうかがえる。ちなみに当時の出演した芸妓は43名にのぼる。
一楽さんの歌声は、現在、山中温泉観光協会から発売されているこちらの2枚のCDにも収録されています。
どちらのCDも一楽さんの収録曲は、「山中音頭」「こいこい音頭」「山中夜曲」「山中しぐれ」の4曲。
ちなみにどちらのCDも正調山中節に限り別の音源を収録。上は河上博美さん(第一回山中節全国コンクール最優秀賞)、下は山口幸子さん(山中節グランドチャンピオン)による歌唱です。
国民栄誉賞も受賞した日本漫画史に残る巨匠 長谷川町子さんが、生前山中温泉で名妓の山中節を聴き、そして自身の書物に遺す、山中節はあらためて多くの方に愛されている民謡だと思います。
※『サザエさんお旅あるき』は昭和62年3月22日から8月31日まで朝日新聞に連載されたものです。
by choraku
| 2020-08-23 15:01
| 今日の山中節





